強迫性障害とは

強迫性障害

強迫性障害

強迫性障害とは不合理な考えに支配され普通ではない行動をとってしまう病気です。
日本では40人に1人が発症すると言われています。
強迫性障害の原因や症状、治療法について確認しましょう。

強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder略:OCD)とは精神疾患の1つであり、自分の意志や思考と違うことが頭に浮かんできてしまい、払拭または振り払おうと不合理な行為を繰り返し行ってしまう病気です。
強迫神経症とも呼ばれ、同じ行為の繰り返しからなる【強迫行為】と同じ思考を繰り返してしまう【強迫観念】の2つからなります。
アメリカでは不安障害に分類されており、多くの人が無意味な行為を日に1時間以上費やしていると考えられています。
人口の2パーセントほどの人が、ある時点を境に強迫性障害を経験すると言われており、日本では40人に1人が発症すると言われており、決して珍しい精神疾患ではありません。
35歳以上の発症は珍しく、患者さんの半数以上は20歳以下での発症となっています。
また男女の性別に関係なく、等しく発症すると言われています。

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因 強迫性障害は今までは心因性の疾患として考えられてきましたが、最近では生物学的要因も原因の1つになっていると考えられるようになってきました。
生物学的要因として、脳内の特定部位、大脳基底核や辺縁系に機能障害が起こっていたり、または前頭葉の活動の異常に原因があると考えられていたり、神経伝達物質である脳内のセロトニンやドパミンなどの機能異常などが原因と考えられています。
神経伝達物質であるセロトニンやドパミンに異常が起こっていると情報伝達が十分に出来なくなってしまい、強迫性障害が起こると考えられています。
心因性の要因として、症状の裏には自身の自己不完全が関係しているとされ、強迫的に同じ行動をとることは、自己不信からくる不安を防御し、自己の完全性を維持することに繋がります。
自分の無力感と不確実感の克服が原因になっています。
またストレスが原因になることがありますが、ストレスなどの特別なきっかけがなくても強迫性障害の症状は少しずつ発症していきます。

強迫性障害の症状

強迫性障害の症状 強迫性障害の症状は【強迫行為】と【強迫観念】から構成されています。
強迫性観念で特に多いとされているのが汚染に関わるもので、他人の唾液や便、尿、細菌などで自分自身が汚染されていると考える事を【汚染恐怖】と呼び、恐怖による不安を払拭するために手を何度も洗ったり、何時間もお風呂に入ったりします。
何度も洗ってしまう行為を【洗浄強迫】と言います。
次に多いのが不完全強迫で、家の戸締りやガス、タバコの後始末、コンセントなど火事の原因になる火の元などが気になってしまい、戸締りの確認を繰り返し行ったり、火の元の確認を何度も行ってしまいます。
この確認行為を【確認強迫】と言います。
他にも頭の中に空想が繰り返し浮かんでしまい、考えを打ち消すために頭の中で何度も祈ったり、おまじないなどを行い、考えを打ち消そうとする行為もあります。
表面上では強迫性障害とは分かりづらくなっています。
ものの順番や対称性などが正確になっていないと落ち着かない強迫観念もあり、並べ替えたり、それを直したりの行為を繰り返し行い時間を浪費する強迫観念もあります。

強迫性障害の治療方法

強迫性障害の治療方法 強迫性障害の治療方法は薬物治療と行動療法が中心となっています。
抗うつ薬による治療が中心となり、三環系やSSRIなどに分類される薬の投与が行われます。
三環系の薬は副作用も強いので継続して服用することが困難になってしまうことが多く、最近では副作用の少ないSSRIを中心に投与を行います。
効果が現われるまでに時間を要し、急な断薬などを行ってしまうと再発の可能性もあるので、大体1年ほどは薬物療法の継続が必要であると考えられています。
行動療法は心理療法の1つであり、暴露反応妨害法を用いて治療を行います。
曝露・反応妨害法は強迫観念を誘発させ、強迫行為を言葉や身体に指示を送ることで妨害する方法となります。
症状は時間とともに軽くなることを利用しての治療方法となります。
この方法によって長時間強迫観念にさらされる事で、患者さんに強迫行為の必要性を低下させることが目的の治療です。
この治療は毎日家でも行うことが必要となりますので、家族や周囲の協力が必要となります。

強迫性障害が発症する仕組み

強迫性障害が発症する仕組み 強迫性障害の発症の仕組みは、まず何らかの刺激やきっかけによって汚染に対する恐怖や自分が不完全であることへの恐怖によって強迫観念が生まれます。
強迫観念が生まれてしまうと、それが気になってしまい取り払うために何度も手や身体を洗ったり、何度も確認したり、完全な状態になっているか確認するなど強迫行為を行うようになってしまいます。
不合理な考えに囚われてしまい、1つの行為を終えるのに長時間かかってしまい、日常の生活や社会生活において支障が出始め、苦痛を伴うようになってしまい強迫性障害になってしまいます。
強迫行為が強迫観念をより強めてしまうので、一過性の症状ではなくなってしまいます。
なので強迫行為を止めようとすると強迫観念がより強くなり悪循環に陥ってしまい、逆に症状を悪化させてしまいます。

強迫性障害の薬とは

強迫性障害の薬とは 強迫性障害の薬物療法において用いられるのが抗うつ薬であり、SSRIに分類される抗うつ薬を使用します。
患者さんにうつ病の症状がなくても、強迫性障害に効果的であり、初めは3ヶ月ほど治療を行います。
3ヶ月を経過して効果がない場合には、他のSSRIの薬が使用されることがあります。
SSRIとは選択的セロトニン再取り込み阻害薬と言われる薬で、脳内の神経伝達物質であるセロトニンにのみ作用するので副作用も少ない薬となっています。
脳内の神経伝達物質であるセロトニンの機能異常が原因となっている場合があるので、SSRIであればセロトニンに作用し、セロトニンの機能を正常に近い状態へ調整する薬です。
またSSRIの薬を投薬して効果がなく、症状が緩和されなかった場合には、他のSSRIの投薬を行うか、三環系の抗うつ薬に切り替え投薬を行っていきます。
服用にあたり注意が必要なのは、早い段階で効果があった場合でも服用を中断してはいけません。
強迫性障害が再発の原因になったり、症状を悪化させてしまい治療を長引かせる場合があります。
1年程度は薬の服用が必要となるので、時間をかけて治療を行っていかなければなりません。

強迫性障害の薬の種類

強迫性障害に用いられる薬の種類は、
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
強迫性障害にも効果があり、副作用も少なく安全性が高い薬とされています。
神経伝達物質であるセロトニンが再吸収されてしまう事を防ぎ、セロトニンの分泌を正常にしてくれます。
一般名:フルボキサミン商品名:ルボックス、デプロメール
一般名:セルトラリン商品名:ジェイゾロフト
などがあります。
SSRIで効果がなかった場合には下記に紹介している三環系の抗うつ薬や抗不安薬の投薬に切り替えます。
・三環系抗うつ薬
脳に働きかける事により、セロトニンの分泌量を増やす効果があります。
一般名:クロミプラミン商品名:アナフラニール
のみとなります。
他の三環系の薬を服用する場合には強迫性障害以外の症状も伴っており、パニック障害やうつ病の可能性がある場合に投薬します。
・抗不安薬
強迫性障害には脳の興奮状態も関係しているという見方もあります。
中枢神経を抑制するGABAという神経伝達物質に作用しGABAを増強させることで脳の興奮を抑え、落ち着く効果があります。
強迫性障害は薬だけで治療はできないので服用を続けながら、行動療法とあわせて治療を行っていきます。
ページの先頭へ