不眠症とは

不眠症

不眠症

不眠症とは寝つき悪い、眠りが浅いなどの症状で生活に支障をきたす精神障害です。
年齢を重ねるにつれ発症する可能性が上がる特徴を持ちます。
不眠症の原因や症状、治療法について確認しましょう。

不眠症とは、自分が寝たい時に眠れない、眠りが浅くすぐに起きてしまうなど、十分な睡眠時間を取ることができない睡眠障害です。
不眠症が続くことで、注意力が散漫になったり、疲れが抜けず体調不良に陥ったりと日常の生活に支障をきたすことがあります。
また、不眠症を治療せずに放置すると、他の病気を悪化させたり精神障害を起こすこともあるため、早めに医療機関で治療することが大切です。

日本人の5人に1人は不眠症と言われており、男女別では女性の方が不眠症になる可能性が多いようです。
20代から発症する方が多く、歳を重ねるごとに患者数は増加する傾向にあり、また、顕著な症状が出るのも高齢の方に多いようです。

不眠症の方に多いのが、安易に睡眠薬を服用することです。睡眠薬は長期間服用し続けると薬物依存症や服用量を守らない乱用に陥ることがあります。
症状がまだ軽い場合は、不眠症の原因となっている生活習慣を改善するだけで回復することもあるので、まずは医師に相談するようにしましょう。
また、睡眠時間が短かくても日常生活に支障をきたしていない場合は不眠症とは言いません。

不眠症の原因

不眠症になる原因は人それぞれですが、大きく原発性二次性併存の3つに大別されます。
原発性の不眠症は「心理的原因」により発症するもので、二次性の不眠症は「身体的原因」「精神医学的原因」「薬理学的原因」「生理学的原因」により発症する不眠症、併存の不眠症はこれら両方が原因の不眠症です。

心理的原因

主にストレスが原因の不眠症。仕事や人間関係、身近な人との死別などのストレスが原因で発症。気付かずに溜まったストレスが原因の場合もあり、不眠症になった時期のことを思い出すことで改善に近づくことがある。

身体的原因

病気や怪我が原因の不眠症。外傷や神経系の疾患、蕁麻疹等のかゆみ、喘息や花粉症、頻尿などが原因で発症。原因の症状を治療することで症状が改善することがある。

精神医学的原因

精神疾患が原因の不眠症。うつ病や不安障害などの精神疾患が原因で発症。医師や専門家に相談し早期治療が必要である。

薬理学的原因

薬が原因の不眠症。使用している薬、飲酒によるアルコール、コーヒー等のカフェイン、タバコのニコチンの摂取等が原因。これらを控えることで症状が改善することがある。

生理学的原因

生活環境が原因の不眠症。海外出張による時差ボケ、昼夜逆転の生活、急激な生活環境の変化などが原因で発症。身体と心が安らぐ環境をつくることで症状が改善することがある。

上記以外にも、睡眠時間は取れていても睡眠の質が悪いことが原因で発症したり、何が原因か分からない場合もあります。
原因が何であろうと症状が悪化する前の早期治療が大切です。
眠れない日が続くようになったり、寝ても疲れがとれないことが続いた際には早めに相談するようにしましょう。

不眠症の症状

不眠症の症状 不眠が1ヶ月以上続く場合や不眠が原因で日常生活の質が低下している場合、それは不眠症と判断されます。
不眠が続くと日中に眠気に襲われるようになり、また、疲れが取れないことからダルい、頭が働かないといった身体的・精神的な支障をきたします。
この状態が続けば学校や仕事などの社会生活においても、周囲からはサボっていると誤解される可能性もありますので、繰り返しになりますが早期治療が何より重要です。

不眠症の治療方法は、その症状によって変わりますので、まずはご自身の症状がどのタイプか確認しましょう。

入眠障害

寝つきが悪く、布団に入って眠りにつくまでに1時間以上かかる。精神的な原因が多く、不安、緊張などが強い場合に発症しやすい。

中途覚醒

眠りが浅く、夜中に何度でも目が覚める。中年、高齢の方に特に多く、日本人に最も多い症状。

早朝覚醒

普段よりも早く目が覚めめ、再度寝ることが出来ない。高齢者に多く見られる症状。

熟眠障害

しっかり寝ているのに睡眠に対して満足感や休養した感じが得られない。他の3つの症状を伴っていることが多い。

これらの症状は1つだけ発症する場合も、複数の症状が重なって発症する場合もあります。
4つの症状のいずれかが週2回以上起こり、それが1ヶ月以上続く場合や、眠れないことに苦痛を感じ、生活に支障をきたしている場合は不眠症と判断されます。

眠ることができないと身体的にも精神的にも休息が取れませんので、集中力の低下、意欲の低下、倦怠感、頭痛、抑うつ、めまい、食欲不振などの症状が現れます。
さらに不眠が続くことで、事故に遭遇する・起こす確率は上がり、また、肥満や高血圧など生活習慣病にかかるリスクも非常に上昇するなど、生命に関わる状況にもなりえます。
また、うつ病など他の精神疾患にも繋がりやすいことも分かっていますので、上記の症状が出ている方や眠れなくて苦痛を感じている方は、一度専門医に相談してみましょう。

不眠症の治療方法

不眠症の治療方法 不眠症の治療は、不眠になった原因を特定した上で非薬物療法薬物療法により行われます。
非薬物療法とは、長期にわたり効果があること・治療後も有益なことから、原発性の不眠症、二次性の不眠症(※上述の不眠症の原因を参照)の双方で用いられます。
行うことは主に以下のような生活習慣の改善です。

睡眠の妨げになる習慣を取り除く

  • 夕方以降はコーヒー等のカフェインを含む飲食物を控える
  • 寝る前に飲食・飲酒をしない
  • 寝る前にパソコンや携帯電話を使わない
  • テレビや電気を消す
  • 1時間を超えるような昼寝はしない
  • 布団に入ってからは考え事をしない
  • その他、寝る前に脳を起こす行動をしない

睡眠に入りやすい習慣を身に付ける

  • 軽めの運動をする(ウォーキングやストレッチなど)
  • 身体を温める(ぬるま湯に浸かる、半身浴など)
  • 日の光を浴びるようにする
  • 寝る時間を決めて一定のリズムで生活をする
ここで間違ってはいけないのは、「寝ないといけない」と思い込むこと、「寝るぞ」と意気込んで寝てはいけないことです。
お香をたいて好きな香りを楽しんだり、好きな音楽を聴くなどしてリラックスした状態で自然に眠るようにしましょう。
このように生活習慣を改善することで質の高い睡眠をとれるようになり、ストレスは解消され、次第に不眠症も改善されていきます。

もう一方の薬物療法は、睡眠薬や睡眠導入剤、抗うつ剤などの薬を用いた治療法ですが、長期的な使用は依存症の可能性などがあることから、二次性の不眠症(精神疾患、薬、生活環境が原因の不眠症)で主に用いられます。
一般的に睡眠薬は危険なイメージを持つ方が多いようですが、決してそのようなことはありません。
とはいえ、突然服用をやめると離脱症状がでたり、長期間服用を続けることで依存症の可能性もありますので、必ず医師の指示に従って適切に服用するようにしましょう。

不眠症が発症する仕組み

人は主に「安心する」「疲れる」「夜になる」と眠くなるように調整されています。
この機能に変化が起きたり、意識の変化、精神的な不安を感じることで不眠症は発症します。
「眠れない」から「不眠症の発症」までは以下のような流れです。

不眠症が発症する仕組み

  • いつも寝ている時間に眠れない(不眠に対して過剰に意識しすぎる)

  • 眠れないことに不安を感じる(明日仕事なのに、寝坊したらどうしようなどを考える)

  • 眠れないことに恐怖を感じる(このまま眠れなかったらどうしようなどを考える)

  • 寝るために努力する(色々と考えすぎてしまい、逆に脳が興奮状態になる)
このように、眠れないことを過剰に意識してしまうことで結果的に脳を興奮状態にしてしまい、さらに眠れなくなるという悪循環が発生します。
これが繰り返されることにより不眠症は発症するのです。

上記は心理的な問題によるものですが、これ以外にも身体的な問題で不眠症が発症するケースもあります。

不眠症の身体的な問題

  • レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
  • 周期性四肢運動障害
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • ぜんそくの発作
  • 関節リウマチ
  • 夜間の頻尿
これらの症状により眠りが妨げられることでも不眠症になることがあります。
高齢者の方は、関節リウマチ、頻尿などにより不眠症が発症することも多いようです。
しかし、身体的な問題で不眠症に陥った場合は、その身体的症状を治療することで不眠症の症状も回復することが多いため、まずは治療に専念するようにしましょう。

睡眠薬とは

睡眠薬とは 睡眠薬とは、睡眠導入剤または催眠薬とも呼ばれ、不眠症などの眠れない時や睡眠が必要な時に用いられる薬です。
緊張や不安を取り除くことで、寝つきを良くする作用を持ちます。
睡眠薬の種類は豊富ですが、そのほとんどが脳の興奮を抑える「GABA受容体」に作用し、脳を鎮静させ眠りにつけるようにするというものです。
近年、オレキシンという脳内物質に作用するものや、脳から分泌されるメラトニンというホルモンに作用する薬も誕生しています。

睡眠薬は、その作用時間の長さから超短時間型短時間型中時間型長時間型に分けられます。
超短時間型・短時間型は寝つきの悪い入眠障害の治療に、中時間型・長時間型は夜中に目が覚めてしまう中途覚醒の治療に用いられます。

副作用は、眠気、集中力の欠如、性欲減退、アルコール併用による記憶障害などがあるため、車の運転など危険を伴う行動は控えるようにして下さい。
また、睡眠薬には常用していると身体に耐性ができてしまい、数週間で効果が弱くなるという特徴があります。
効果が弱まると自己判断で服用量を増やしがちですが、そうすることで薬物依存症になったり、服用をやめる際に離脱症状を起こす恐れがあります。
必ず医師に指示されたスケジュールの通りに服用し、適切に使用するようにしましょう。

睡眠薬の種類

睡眠薬には化学構造の違いで主に以下の5種類に分けられます。

バルビツール酸系

非常に強い作用が特徴で麻酔に利用されることもある。効果が強すぎるあまり重篤な副作用が発生する危険性もあり、日本では重度の不眠症患者に限り処方されることがある。

ベンゾジアゼピン系

安全性が高く作用の強さもほどほどなバランスのよいタイプ。バルビツール酸系のような重篤な副作用がほとんどないのが特徴。

非ベンゾジアゼピン系

ベンゾジアゼピン系の副作用を減らし、より安全性を高めた薬。現在の主流であり病院などで最も処方されているタイプ。代表的なものにアモバンがある。

オレキシン受容体拮抗薬

睡眠を途中で起こすオレキシンの働きを邪魔することで、眠れるようにする(途中で起きないようにする)効果を持つ。

メラトニン受容体作動薬

脳内のメラトニン受容体を刺激することにより、眠りを司るメラトニンというホルモンを分泌させる。強制的な眠りではなく眠気を誘う薬のため他の薬と比較して効果は弱めだが、安全性は高い特徴を持つ。

このように睡眠薬と言っても、作用の違い、強さの違いから様々なタイプがあります。
病院などで処方されるのは、そのほとんどが安全性の高い非ベンゾジアゼピン系ですが、安全といっても副作用や依存症、離脱症状が起こる可能性は0ではありません。
必ず医師の指示に従って適切に服用するようにしましょう。
ページの先頭へ