統合失調症とは

統合失調症

統合失調症

統合失調症とは妄想や幻覚などの症状が特徴の精神疾患です。
社会生活に支障をきたす上、自殺リスクも高い病気です。
統合失調症の原因や症状、治療法について確認しましょう。

統合失調症は、日本では平成14年(2002年)まで精神分裂症と呼ばれており、妄想や幻覚といった症状が特徴の精神疾患です。
私たち人間は、脳内にある精神機能を使って喜怒哀楽などを感じますが、何らかの原因で脳が対応できなくなり、感情や考えをまとめることができなくなてしまうのが統合失調症です。
簡単に説明すると、脳内の精神機能が上手く働かなくなってしまうことです。
統合失調症が発症すると妄想や幻覚の症状により、家庭内や社会生活など人との関わりに大きな障害が発生し、日常生活に支障をきたします。 また、自分の考え方や行動、感覚がおかしいと考えることが出来ない「病識がない」ことが多く、これにより他人との隔たりが大きくなりやすい傾向があるのも統合失調症の特徴です。
統合失調症は、10代後半から30代に発症する事が多い病気で、他の精神疾患と同様で慢性化しやすい傾向にあります。
発症してしばらくすると急性期と呼ばれる妄想や幻覚の度合いが強くなる状態に移行するため注意が必要です。
発症の仕組みや根本的な原因は未だに解明されておらず、単一の疾患ではなく症候群であると考えられている場合もあるなど、様々な仮説が提唱されていますが、決まった定説は確立されていない精神疾患の1つです。

統合失調症の原因

統合失調症の原因 統合失調症の原因については、上述の通り決まったものはありませんが、神経伝達物質の異常と脳機能障害や構造に異常が発生するためと考えられています。
神経伝達物質とは、脳を構成している神経の細胞同士をつなぐ情報伝達に使われる物質です。
神経伝達物質の1つであるドーパミンが過剰に作用すると、妄想や幻覚が現われやすくなるとされています。
また、他にもグルタミン酸やセロトニン、GABA(ギャバ)といった神経伝達物質も関係していると考えられるようになってきています。
脳の機能障害や構造に異常がある場合、個人差はありますが健康な人に比べ、側頭葉や前頭葉など脳の一部が小さい場合があります。
ただし、これは脳の一部が小さい傾向があるというだけであり、それが必ずしも原因とは言い切れません。

また、統合失調症の原因として関係していることに、「素因」と「環境」の2つが挙げられています。
素因とは病気になりやすい素質のことです。統合失調症になりやすい遺伝的な素質があり、その素質が多く集まった場合に症状が発症しやすくなるというものです。
環境とは自分の生活環境のことであり、何らかの事象が原因で統合失調症を発症させる要因・引き金になりえるというものです。
統合失調症には決まった原因はありませんので、必ずしもこれといった原因を特定することはできません。
生活環境、遺伝的資質、脳内環境など様々な要因による発症する可能性があります。

統合失調症の症状

統合失調症が発症すると様々な精神機能に障害が現われ、意欲や行動、感情、自我の意識などに症状がみられます。
統合失調症は「前駆期」「急性期」「消耗期」「回復期」の経過をたどり、各状態で症状が異なります。

前駆期

  • 発症直後で過敏な状態
  • 他人からの一言一句が気になり騙されている感じがする
  • 音に敏感になり眠れない

急性期

  • 脳が過剰に働き、症状が最も激しく現れる状態
  • 幻覚や幻聴、妄想など「陽性症状」が発症する
  • あらゆることに不安を感じる
  • 脳が働きすぎ眠れない

消耗期

  • 急性期後の脳が働かず、元気がなくなる状態
  • 感情を出さない、会話をしないなど「陰性症状」が発症する
  • 自分に自信がなく、やる気や意欲がなく引きこもりやすい
  • 体がだるく眠気が強い

回復期

  • 症状が回復する段階で、リハビリテーションを行うべき状態
  • あらゆることにゆとりが出る
  • 周囲への関心が増え、快方に向かいやすい

※全ての症状が全ての患者に発症するわけではないため注意が必要です。

統合失調症の症状は大きく2つに分けることができ、それぞれ陽性症状陰性症状と呼ばれます。
陽性症状とは、上記の急性期に発症する症状で、脳が過剰に働くために発生する症状です。
陰性症状とは、消耗期に発症する症状で、脳が働かないために発症する症状です。

陽性症状とは

急性期に発生する症状で、主なものに思考の障害(思考過程の障害、思考内容の障害)、知覚の障害などがあります。

思考過程の障害

  • 自分の思考に他から割り込まれると、うつ状態・神経過敏になり考えがまとまらなくなる
  • 他から何かを割り込まれた際に自己喪失に陥りやすい
  • 会話の中で的外れな答えを返すことがあり、周囲からは話を聞いていないと思われる
  • 集中力がなくテレビの視聴や新聞、本を読むことができなくなる

思考内容の障害(妄想)

  • あり得ないと思われることを事実だと思い込む、いわゆる妄想が発生する
  • 被害妄想、追跡妄想、宗教妄想など様々な妄想が発生する場合がある
  • 病識がないことと相まって、他人が自分を貶めようとしているように感じる

知覚の障害

  • 幻聴、幻視など様々な幻覚が生じる
  • 幻聴は悪い内容が聴こえることが多く、周囲を敵対的に見るようになる
  • 幻覚が原因で「悪魔が憑いた」「宇宙人と交信できる」といった妄想が発生することがある

陰性症状とは

消耗期に発生する症状で、主なものに感情の障害、思考の障害、意志・欲望の障害があります。

感情の障害

  • 感情を一切外に出さなくなり、意思の疎通が図れない
  • 会話をせず、自己の世界に閉じこもってしまう

思考の障害

  • 無意味な考えにこだわり続ける
  • 興味の対象が限定される
  • 一般的な考え方ができず、何か問題が起きても頑なで自己中心的になる

意志・欲望の障害

  • やる気・意欲・自発性が低下し、身の回りのこともできない
  • 引きこもるようになり、頭では分かっていても行動することができない
  • 家族や友人、世の中のことに興味・関心がなくなる

ここに記載した症状は統合失調症の症状の一部です。

統合失調症にはこれら以外にも多くの症状があります。

統合失調症の治療方法

統合失調症の治療方法 統合失調症の治療は一般的に薬物療法で行われます。
通院治療、入院治療どちらも行われますが、患者が統合失調症について無自覚な場合(病識がない場合)で、日常生活に支障をきたしたり、他人や自分自身に加害行為を行ってしまう場合には、強制入院という手段を選ばなくてはならない場合もあります。
この場合の入院は、一般の精神科の病室ではなく、閉鎖病棟への入院となり、平均的な入院期間は1ヶ月~3ヶ月程度となっています。
薬は抗精神薬が用いられますが、これは脳内に働きかけ神経伝達構造の乱れや働きを整える作用があり、不安の緩和や幻聴などを抑える効果あります。
しかし、薬物治療も万能ではなく、意欲などが低下する症状については十分な効果が発揮されない場合もあります。
こういった場合には、リハビリテーションを行うなどして併せて治療を行っていきます。
また、薬物治療は調子が悪い時にだけ薬を服用するのではなく、規則的に継続して服用する必要があります。
統合失調症の症状は様々で個人差も大きいため、服用量も個人差はありますが、症状にあわせて服用する種類を変えていきます。
薬の効果が発揮されるのは、数日から数週間かかる場合があり、規則的に薬を服用できない場合には、効果が数週間継続する注射をする場合もあります。
統合失調症の治療は、薬の投与で症状を抑え、リハビリテーションなどで患者や患者を支える家族のケア能力を高めながら治療していくことが大切です。これらをしっかりと行うことにより高い治療効果が期待でき、再発予防につながるとされています。

統合失調症が発症する仕組み

統合失調症が発症する仕組み 統合失調症の原因は、原因がはっきりしていないため仕組みもはっきりはしていません。
ここでは、1つの仮説を簡単に紹介したいと思います。

統合失調症の仮説の1つに、神経発達障害仮説というものがあります。

神経発達障害仮説とは

神経の発達に障害があることが原因(神経系の原因)で統合失調症になりやすく、思春期以降の様々な心理的あるいは社会的な負担により統合失調症状が発症するというもの。

神経系の原因とは

  • 遺伝によるもの
  • 脳の構造上のトラブル
  • 本人の気質や性格によるもの

心理的な負担とは

  • 転居や転校、親の離婚など、生まれ育った生活環境の変化による負担
  • 病気により発生する負担
統合失調症の発症の仕組みは、単純な1つのことが要因なのではなく、色々な事が重なりストレスなどが引き金となって発症してしまうと考えられています。
多くの統合失調症患者に、脳内の発達障害の痕跡があることから、この仮説が有力だとされています。
ただし、これはあくまでも仮説です。今後解明され、統合失調症の原因や発症の仕組みが判明するかもしれませんので注意が必要です。

統合失調症の薬とは

統合失調症の薬とは 統合失調症に使用される薬は、抗精神薬とも呼ばれるものです。
この種類の薬を飲むと不安定な感情や思考の障害、幻覚などの症状を軽減することができ、脳内の情報伝達機能を改善させることで統合失調症の症状を抑えることができます。
日本では現在、数十種類の薬が統合失調症の治療に使われており、剤形は錠剤タイプ、粉薬、水がなくても服用できる液剤があります。
また、いくつかの種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

従来型(定型)抗精神薬

脳内から分泌される神経伝達物質ドーパミンに作用し、陽性の症状に対して効果が発揮されます。

持効性抗精神薬

注射で薬を投薬するもので、1週間以上、効果が持続されるものとなっています。

新規(非定型)抗精神薬

神経伝達物質ドーパミンとセロトニンに作用し、陽性、陰性症状のどちらにも効果が発揮される薬となっています。

これらの薬は統合失調症の症状にあわせて使い分けられ、どのタイプの薬が最も有効か、服用量はどの程度必要か、副作用は問題ないかなどを考慮しながら、その人にあった薬を処方していきます。
薬を服用することで症状が軽くなることもあれば、逆に辛くなることもあります。きちんと医師に相談して服用しましょう。

統合失調症の薬の種類

統合失調症の治療に用いられる薬は様々で、主に使用されているものは以下の通りです。

従来型抗精神薬

  • クロカプラミン(商品名:クロフェクトン)
  • クロルプロマジン(商品名:コントミン、ウインタミン)
  • ゾテピン(商品名:ロドピン、メジャピン)
  • チミペロン(商品名:トロペロン)
  • トリフルオペラジン(商品名:トリフロペラジン)
  • ネモナプリド(商品名:エミレース)
  • ピモジド(商品名:オーラップ)
  • フルフェナジン(商品名:フルメジン)
  • モサプラミン(商品名:クレミン)

持抗性抗精神薬

  • デカン酸フルフェナジン(商品名:フルデカシン)
  • デカン酸ハロペリドール(商品名:ネオペリドール、ハロマンス)

新規抗精神薬

  • アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)
  • リスペリドン(商品名:リスパダール)
  • ペロスピロン(商品名:ルーラン)
  • クエチアピン(商品名:セロクエル)
  • オランザピン(商品名:ジプレキサ)

※上記は一例です。他にも様々な薬があります。

注意が必要なのは、統合失調症の治療には複数の種類の薬を併用することがあり、結果的に服用量も多くなることがあります。
この場合、副作用が強くなる可能性があり、また、過鎮静と呼ばれる副作用を起こすことがあるので、なるべく1種類の薬だけを服用して、症状の程度にあわせて用量を変えていくことが望ましいとされています。
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